2019.9.15

知育アプリ導入レポート:YouMe Nepal Khotang

ネパールへ行ってきました

maruQiku インターンの Arisaです。
大学に通いながら、塾講師として小学生に国語・英語を教えています。ネパールの教育事情を知った中学生の頃から、世界の子供たちの教育支援に携わりたいと思うようになり、大学では国際公共政策と開発協力を専攻しています。


「誰もが通える夢のような学校を創る」 YouMe School
「スマホ1つでだれもが夢をかなえる」 maruQiku
2社の連携により実施された、知育アプリ導入テスト。

2歳~12歳までの子供たち、誰もがみんな目を輝かせて夢中になっていました。
目の前で見た子供たちの様子をレポートいたします。

YouMe School(ユメスクール)とは

YouMe School Khotang

ネパールの首都カトマンズから東へ200km。
YouMe School Khotan は、険しい山岳地帯を文字通り山を越え川を渡って進むこと車で8時間の場所にあります。

創業者は、現在東京大学に在学中の Sharad Rai さん。
20歳で留学生として来日。大学卒業後、日本の小学校での仕事に従事しながら、23歳でご自身の生まれ故郷であるコタン群に YouMe School を創立されました。

日本の文化を取り入れて:カーストフリーでだれもが平等に同等な学びを

校舎の壁にはたくさんの日本語が書かれています。
日本からの訪問者も多く、子供たちは「おはようございます」「ありがとう」「さようなら」など日本語の挨拶をたくさん知っていました。

言葉だけではなく、掃除・朝礼など、学校生活のあらゆる場面に日本文化が取り入れてられていました。

YouMe School は、誰もが平等に同等の立場で教育を受けられる学校造りのため、カーストフリーを掲げています。そのための先生方の指導、子供の意識改革のための指導等、徹底されています。生まれに関わらず児童・生徒たち全員が、自分たちで自分たちの学び屋の掃除をする。日本の学校ではあたりまえの文化を取り入れることで、子供たちの意識改革に活かしています。

子供たちによるChildren's Dayイベント

訪問初日、9/15 はChildren’s day。
子供達は歌や踊り、演劇を披露。
飴食い競争・椅子取り合戦・サッカー大会・バレーボール大会…
2歳~12歳のすべての子供が楽しめるよう考えられた様々なプログラム。
文化祭と運動会を足したようなイベントでした。

この日のプログラムはすべて子供たちが企画したとのこと。
開会の挨拶から閉会まで、運営ももちろん彼ら自身によって行われます。
写真は Children’s day の責任者。真剣な様子が伺えます。

朝礼も子供たちによる運営

翌日、9/16。
近隣の公立の学校ではこの日も Children's Day イベントが開催されていましたが、YouMe School では通常授業が行われていました。
まず全校生徒が集まる朝礼。
ここでも日本の小学校の風習が取り入れられています。
2歳児から前習えでまっすぐに並び、まっすぐに立って集中してお話を聞いている姿に感動しました。
そして、朝礼の運営も子供たちに任せられているとのこと!朝礼の全ての進行は小学6年生にあたる、Grade6 の子供たちによって行われていました。

授業はすべて英語

1限目、小学生の学年にあたるクラスでは、ネパール語・英語・数学・情報・道徳の科目、幼児クラスではiPadを活用して、欧米でポピュラーな Nursery Songの動画を利用したリトミック活動が行われていました。

コンピューターの授業にて教科書を開いていたのはGrade4、小学4年生にあたる年齢の子供たち。英語で書かれた教科書を開き、設問に取り組んでいました。

※日本の小学校では「コンピューター」にあたる科目は設定されていません。「情報教育」としての活動目標が掲げられ、各教科内で情報活用能力を高めるための指導が行われています。(参照:文部科学省ホームページ

ネパール語の授業以外はすべて英語。2歳児から英語を活用する環境に身を置く子供たち。低年齢の子供でも、私たち訪問者とのコミュニケーションには不自由しない程度に英語をつかえています。

知育アプリの導入テスト

点描写ドリル ten to ten

日本で開発された知育アプリを YouMe School Khotang で導入、能力開発ツールとして活用できるかどうかの視察が、今回の maruQiku ネパール訪問の目的です。

導入候補となった知育アプリ「ten to ten」は、等間隔に並んだ点と点を線で結んで見本と同じ図を描く、点描写を楽しめるアプリです。すでに55カ国で利用されているそうです。
YouMe School Khotang を訪問する前に、カトマンズにある事務局にて運営の皆様と打ち合わせを実施。
日本の幼児教育において点描写がどのように活用されているのかをご説明し、導入する際にはどのような環境が必要か、どのような活用方法が良いのかなど、ディスカッションを行いました。最終的には子供たちに使用してもらった後の反応を確認したのちに、具体的な導入スケジュールなど検討していく運びとなりました。

行列ができるほどの人気ぶり!夢中になって遊ぶ姿に感動

Children's Day イベントプログラムの休憩時間。ten to ten を起動した iPad を渡してみるとみんな興味津々!
言葉による使い方説明機能はないけれども、子供たちはわかるのだろうか?という心配は杞憂に終わり、全員夢中になって遊んでいました。何度も書いて、消して、書いて、消して。順番待ちの子供たちが出るほどでした。
一見ただの単純作業で、線を描く以外のアクションがないアプリなのに、こんなに子供が集中するものなのかと驚きました。お手本と同じ形を作るということが、子供達にとって難しいということもわかりました。どの点とどの点を結んだらおなじ形になるのかという空間把握能力を養っている途中なんだなぁと実感し、等間隔に並んだ点と点を結ぶだけでそれが養えることに驚きと感動を感じました。

集中するといつまでも

学校から宿泊先へ移動、ディナータイム。
そこにはTVアニメに釘付けになっている男の子がいました。
彼はホテルオーナーの息子さん。いつも食堂でTVを見ているそうです。
この日もずっとTVアニメを視ていましたが、 iPad を渡してみると、YouMe School の子供たち同様すぐに夢中に。TVを消したことにも全く気付かず、黙々と、ひたすら集中して取り組んでいました。
操作側のアクションに応じて音が鳴ったりアニメーションが動いたり、といったリッチな機能が一切ないので、普段からTVアニメを見ている子供だとすぐに飽きてしまうのでは?という懸念もまた杞憂に終わりました。

知育アプリの可能性

知育アプリを活用することで、紙・鉛筆・教科書・ドリルなどの教材が十分ではない環境でも、学習することができます。
また、ネパールでは多くの家庭がスマートフォンを持っています。
学校が遠くて通えないという場合でも、家にいる時間にも、求める教育を受ける・学習をすることが可能になります。
今回の YouMe School への訪問を通じて”誰もが平等な教育環境が得られる”という maruQiku のコンセプトの実現可能性を感じました。